日本財団 図書館
 
Top日本財団三十年の歩み 本史>本史詳細
(昭和60年度〜平成3年度)
第4節 国際社会におけるわが国の責任と役割の増大
1.国際交流の促進と国づくり支援 笹川中欧基金
昨今の計画経済圏諸国の市場経済に向けての急速かつ大きなうねりは、世界が歴史的な転換期にあることを示している。なかでもチェコスロバキア、ポーランド、ハンガリーの中欧3か国は、この歴史的な試みの成否を占うものとしてその動向が最も注目されると同時に、わが国がいかなる哲学をもって寄与しうるのがが問われる焦点の地域となっている。
戦後、荒廃のなかから、奇跡的ともいわれる経済発展を成し遂げたわが国には、これら諸国から熱い視線が送られており、これに応えて民間べースで人物・知識・ノウハウの交流、供与を中心とした活動を行うことは、わが国の国際的な義務であろうと考えられた。
こうしたなかで笹川平和財団では、当面、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリーの3か国を対象に、市場経済への円滑な移行を支援するとともに、わが国との交流と対話を深め、相互の友好関係を樹立することを目的に、笹川中欧基金の設置を計画した。本会はその重要性を認め、同財団の協力援助の要請に応え、平成2年度に40億円を支出、これをもとに3年3月、笹川中欧基金が発足した。
笹川中欧基金は、人的交流、調査研究・開発および教育活動、出版活動等を事業分野とし、当面は、企業家のレベルアップを目的とした中小企業の育成、民主主義を支える基盤の一つであるジャーナリズム・マスコミ支援、深刻化している環境問題への対処などを中心とした活動を展開していくこととなった。
平成3年度には次の2つのプロジェクトを実施した。
(1)中欧向けテレビ番組の制作
市場経済に対する国民の理解を深めるため、市場経済の仕組みをわかりやすくドラマ仕立てにし、日本経済発展の経緯・現状をフィルムにまとめ、現地の放送局から放映した。
(2)中欧環境パートナーシップ
欧米の財団により設立されたパートナーシップヘの助成を通じ、現地の環境問題従事者(NGO)に対する教育および各種プロジェクトを実施した。
中欧諸国歴訪時(平成4年5月7日〜17日)ハベル大統領
(チェコスロバキア)と両国の協力関係強化等について
意見交換する笹川良一会長

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
 
The Nippon Foundation