日本財団 図書館
 
Top日本財団三十年の歩み 本史>本史詳細
(昭和60年度〜平成3年度)
第4節 国際社会におけるわが国の責任と役割の増大
1.国際交流の促進と国づくり支援 笹川島嶼国基金
南太平洋島嶼国は旧宗主国の影響力が減少するにつれ、経済・技術交流をはじめ各分野で、わが国との関係強化を求めるようになった。笹川平和財団では、これら南太平洋島嶼国の社会経済発展に対し、同じ太平洋に位置するわが国がいかに協力すべきかを検討するため、昭和60年8月、同地域の独立国10か国の政府首脳を招き、太平洋島嶼国会議を開催した。
会議ではそれぞれの島嶼国がかかえる諸問題が開陳されるとともに、同地域の発展と経済的自立を確保するためには、諸外国からの政府援助だけでなく、民間公益団体の活発な協力と援助活動が緊急不可欠であるとされ、特にわが国の協力・支援の強化が要請された。
同時に、わが国と島嶼国との関係を実り多いものとするためには、特に次世代の交流拡大が不可欠であり、相互の人材交流を通じ情報交換を盛んにする必要性が確認された。
こうした経過をふまえ、笹川平和財団では笹川島嶼国基金の設置を計画し、本会に対し協力援助の要請がなされた。笹川島嶼国基金は、太平洋島嶼国とわが国とがあらゆる分野で人的・文化的交流を促進するとともに、造船・海運、海洋開発、環境保全を含む産業技術領域での協力関係の強化を図ることにより、相互理解の増進と南太平洋地域の健全な発展に寄与することを目的としたものであった。
本会は同基金設置の重要性を認め、63年度に同財団に対し30億円を支出し、これをもとに平成元年3月、笹川島嶼国基金が発足した。同基金の運営に必要な資金は、基金の運用益で賄われ、基金運営上必要な事項は、笹川平和財団に設けられた笹川島嶼国基金運営委員会により調査・審議されることとなった。
同基金は発足以来、人物・文化交流、調査研究活動、出版活動等を幅広く行ってきた。そのうち助成事業の主なものには、日本語研修生への奨学金支給のほか、アジア太平洋こども会議、島嶼国地域環境会議、PEACESAT(衛星を利用した太平洋地域の教育情報ネットワーク)教育会議、島嶼国教育指導者会議等への支援、自主事業では島嶼国新聞編集者の招聘などがある。
太平洋島嶼国会議(1985年8月=昭和60年、東京)

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
 
The Nippon Foundation