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(昭和55年度〜59年度)
第3節 魅力ある地域づくり
3.きめ細かな福祉援助活動 中国残留日本人孤児の援護
中国残留日本人孤児は、太平洋戦争末期の混乱のさなかに幼児の身で不幸にして肉親と離れ、30年以上もの長い間、中国の養父母のもとで自分の身元も知らないまま成長した人々である。このような孤児たちの肉親にめぐりあいたいという切なる願いを実現させるため、日本政府は中国政府の協力を得て、昭和56年3月から毎年残留孤児をわが国に招き、本格的な肉親捜しを開始した。
孤児たちが肉親にめぐりあえた場合には、日本への帰国、日本語の習得や生活習慣の習熟、本人の就職や子弟の就職・教育、さらに幼いころから育ててくれた中国人養父母の老後の扶養など、解決すべき多くの問題をかかえることとなるので、この事業を円滑に推進するため、58年6月、(財)中国残留孤児援護基金が設立された。
同基金は、肉親が判明し帰国を希望する孤児たちの自立援助を目的として発足し、民間各界各層の善意を結集して、養父母などの扶養の援助や中国帰国孤児定着促進センターの運営等をはじめ、必要な事業を実施・推進し、官民一体となってきめ細かな援護活動をすすめた。
本会は日本国民の使命として、また、人道上の見地からも孤児の援護活動をすすめていかなければならないと考え、59年度から毎年同基金に資金補助を行っている。
初年度の59年度には、肉親捜しを申請した孤児1,527名のうち政府の調査により733名の肉親が判明し、そのうちの170名が日本に帰国した。同基金は本会からの補助金により、身元が判明した孤児の中国での生活状況や帰国後の生活実態を把握し、随時、住宅、就職、子弟の就学等に関する相談に応じ、適切な助言・指導を行った。
また、帰国後2〜3年を経た孤児については、中国の養父母をそれぞれの家庭に招いて再会させ、かつての養育に対する感謝の意を表す機会を設けた。これらの活動により、孤児やその家庭の日本社会での定着と自立の促進が図られ、福祉の向上に資するところ大であった。
平成3年8月末現在、帰国孤児の総数は1,471名にのぼっており、同基金はこれらの孤児たちが地域社会に自立定着するための努力をさまざまな形で支えている。

 帰国した中国残留孤児と
 招かれた養父母の再会


 養父母訪日の歓迎パーティー(平成2年)

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