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(昭和46年度〜54年度)
第4節 国際援助活動
1.国連諸機関の活動を支援 らいと天然痘の撲滅対策
世界保健機関(WHO)は、1948年(昭和23年)の国連総会において、「世界のすべての人々が最高水準の保健衛生を維持できるようにすること」を目的として設立された。以来、保健指導員の訓練、医薬品その他の物資・設備の援助を通じて、各国の保健システムの強化を図るとともに、栄養、母子保健、環境衛生、特定疫病の管理、医薬品政策の立案、医療保障、リハビリテーション等、健康のあらゆる面について必要な調査研究を促進してきた。
本会はWHOの要請に沿って、昭和50年度以来、らい病対策事業を継続して支援している。当時、アジア、アフリカを中心に患者が1,000万人以上にものぼっていたらい病は、患者の登録と治療が不可欠であるにもかかわらず、隔離などの必要からくるこの病気への偏見が効果的な対策の推進を妨げ、らい病は依然として「不治の病」として恐れられた。WHOのらい病対策事業に本会が拠出した資金は、WHO本部あるいは6か所の地域事務所を通じて、各地域におけるらい病対策プログラムの立案・運用・調整、患者常在国における医療技術者の訓練、らい病情報システムの開発、薬品の供与と設備の拡充等に役立てられた。さらに51年度からは、らい病の原因究明、治療方法および予防方法の確立をめざした熱帯病研究対策事業に着手し、世界規模でのらい病根絶対策の拡大・強化に貢献している。
一方、アフリカやアジア諸国で猛威をふるっていた天然痘についても、WHOが1967年(昭和42年)からその対策を強力に推進した結果、1970年代に入り、撲滅への展望が開けてきた。本会は昭和50年度からWHOの行う天然痘撲滅事業に援助金を拠出し、これらの資金は主として天然痘監視活動、フィールドサーベイ、ウイルスの野外調査、ラボラトリー研究、免疫活動を拡張するための職員訓練、予防接種の行政管理のための研究等に向けられ、天然痘撲滅に大きく寄与した。

スイス・ジュネーブのWHO本部


開発途上国における健康維持活動

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