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(昭和46年度〜54年度)
第2節 福祉・公益事業の拡大
6.多岐にわたる保険・福祉ニーズ 健康教育
人間は往々にして、病気になって初めて健康であることのありがたさを認識する。病気はその本人にとって不幸であるだけでなく、家族や所属する企業、ひいては社会にとっても大きな損失である。人々がつねに健康を維持するためには、個人の普段の心がけとあわせ、予防医療を中心とする地域医療システムの展開が不可欠である。
このような認識のもとに昭和48年4月、本会の基金拠出により(財)ライフ・プランニング・センターが設立された。同センターの設立精神は、人生を疾病との闘いの過程としてとらえるのではなく、生命の質、生活の質を考え、価値のある人生、気品のある人生をいかに送るかにある。同センターは予防医学と健康教育とを基本的なテーマとして、本会の補助により主に次のような事業を展開している。
(1)健康教育活動「生活習慣の改善」「健康の自主管理」という同センターの理念を深めるため、50年に開設した健康教育サービスセンターを拠点として、多様なプログラムに基づき全国各地で各種の講演会やワークショップ、家庭看護講座等を開催している。また、血圧自己測定運動に取り組み、一般人の医療参加にいち早く着手するとともに、特定の地域社会を対象とした「地域健康づくり運動」にも取り組んでいる。また、こうした一般市民向けの教育だけでなく、医師、看護婦、その他医療職ならびに医学生、看護学生等を対象に、各種のカリキュラムをそろえ、生涯教育を実施している。
(2)ヘルスボランティアの育成と活動
「健康づくり運動」を隣人や地域社会に広げるため、広範なプログラムを用意して、ヘルスボランティアの養成に努めている。また、良質のボランティアを育成することにより医療専門家のケアの一端を担い、心身ともに苦しんでいる患者と家族の支えとなることを願っている。
(3)国際交流活動「医療と健康に関する国際セミナー」を毎年開催するほか、適宜、特定テーマのもとに海外から講師を招き国際ワークショップを開催し、わが国の医学界・医療界・看護界に大きな刺激を与え、健康科学のレベルアップに努めている。
(4)健康管理の実践48年に設置されたライフ・プランニング・クリニックは、新しい医療システム(個人・集団)の実践の場である。同クリニックにおける診療の特徴は、クリニックのすべての職種の者がチームを組んで対応し、それぞれの専門的立場から問題点についての意見を述べ、総合的な医療がなされるよう配慮していることである。このほか、生命に有終の美を添えるための施設としてわが国で初めての独立型のホスピス建設計画をたて、末期医療への全人的ケアをテーマにした学習を重ね、平成2年度にこれを実現するための経済的基盤を確立し、建設用地を入手した。本施設は22床の入院設備のほか、日本におけるこれからのホスピスおよびターミナル・ケアの人材育成のための教育、研究施設を併設し、5年度の完成が予定されている。
ヘルスボランティア講座



国際ワークショップ(模擬患者による医学教育)

日本初の独立型ホスピス「ピーチハウス」完成予想図

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