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(昭和37年度下半期〜45年度)
第4節 豊かな社会をめざして
2.福祉事業の推進 重度心身障害児・者福祉への積極的な対応
わが国において療育面から心身障害児のための福祉対策が本格化したのは、児童福祉法に児童相談所とあわせ肢体不自由児および精神薄弱児施設に関する規定が定められ、療育・保護等の措置がなされてからである。
その後、昭和24年に18歳以上の身体障害者を対象とする身体障害者福祉法、35年に18歳以上の精神薄弱者を対象とする精神薄弱者福祉法が制定され、児童から成人まで一貫して心身障害者の更年を援護する体制が整えられた。
しかし、重度の身体障害と精神薄弱をあわせもつ重複障害児の福祉対策は立ち遅れており、39年になってようやく肢体不自由児施設および精神薄弱児施設に重度棟を付設する道が開かれ、42年に児童福祉法の一部改正により、重度心身障害児のための施設整備の法制化が図られた。
こうしたなかで、本会は重度心身障害児・者の更生施設の整備促進を図るための事業に特に力を注ぎ、設置基準にきわめて柔軟に対処しながら、その代表的な補助団体としてまず38〜42年度に(福)日本心身障害児協会(島田療育園)、42〜44年度に(財)秋津療育園の整備事業に補助金を交付した。
これらの施設はいずれも、重度の肢体不自由児・者および重度の重複障害児に対し、医療・保育および生活訓練の場を提供するための施設である。
当時、わが国には18歳以上の重度心身障害者の収容施設は皆無であり、障害者は在宅療育を余儀なくされていたが、この補助事業により秋津療育園に初めて成人病棟50床が完備され、成人の重度障害者を収容することができるようになった。また、多くの在宅重度障害児・者が母子で短期入園することにより、適正な在宅療育の指導訓練を行うことも可能となった。
一方の島田療育園は42年に児童福祉法が改正される以前から重度の心身障害児施設として運営されており、本会はその重要性に着目し先駆的に補助を行った。
秋津療育園




秋津療育園における療育風景(昭和48年ごろ)

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